自然と遊ぶ

絶景・三淵渓谷通り抜け参拝(山形県長井市)|悲恋の物語「卯の花姫伝説」が伝わる神聖な地

こんにちは。先日、山形県長井市の「絶景・三淵渓谷通り抜け参拝」に参加してきました。地域の聖域となっている渓谷の中をボートに乗って通り抜け「参拝」するこのツアー、

・パワースポットを巡りたい
・川のアクティビティを楽しみたい
・きれいな風景と自然に癒されたい
という方にはぜひ一度体験していただきたいツアーです。

自然に溢れる山形への旅行を検討されている方の参考に、ご紹介させていただきます。

三淵渓谷通り抜け参拝とは

かつて最上川舟運で栄えた「川のみなと」と称される山形県長井市は、水の街でもあります。

この地域の豊かな水、その源流のひとつである長井ダム「ながい百秋湖」の上流に位置する「三淵渓谷」が、このツアーの舞台です。

この三淵渓谷は、長井地域に平安時代から伝わる「卯の花姫伝説」のゆかりの地。龍神となった姫を祀る神社が渓谷の上にあるため、渓谷はいわば「参道」、そしてここをボートで通り抜けることが「参拝」となります。

ツアーは例年4月から11月にかけて開催されています。四季折々、ご覧のとおりの絶景を楽しむことができるのです。

今回はこのツアーに実際に参加して、神秘的な景観を味わいながら参拝してきました。

ツアー主催 最上川リバーツーリズムネットワーク

長井市で活動を行っているNPO法人で、自然豊かな最上川と沿川の地域資源をつないだ「リバーツーリズム」を通して、訪れる人はもちろん、美しい川や街なみづくり、地域を担う人材の育成などにもつなげる目的で活動を行っています。

▼公式Webサイト
http://samidare.jp/229km/

ツアーの感想

自然が織りなす景色に圧倒される素敵なツアーでした。

所要時間1時間程度のツアーでしたが、美しい風景や自然の音に囲まれて、すっかりリフレッシュしました。

また、三淵渓谷の神秘的な光景には思わず息を吞むほど。遠い昔の卯の花姫の物語や、水と人との関わりの歴史に思いを馳せて、心をゆっくりと癒す時間にもなりました。

体験レポート

ここからはツアーの様子を写真や動画とともにご紹介していきます。

実は参加当日の天候は雨。しかし「あいにくの雨」どころか、雨の日ならではの幻想的な風景にも運よく出会えましたので、そちらも併せてお伝えします。

予約から当日までの流れ

ツアーの予約は電話のみとなっています。毎月の運航日がHPから確認できますので、そちらをご覧いただき電話予約、という流れです。

悪天候やダムの状況等、運航に危険が生じるおそれがあり中止となる場合には、電話で連絡が来ます。

公式Webサイト

タイムテーブル

「絶景・三淵渓谷通り抜け参拝」ツアー当日のスケジュールです。

現在は1日8便運航しており、約1時間で三淵渓谷までの航路を往復します。参加当日は10:50出航の第3便に乗りました。

10:20 「野川まなび館」集合から乗船場への移動、出発
10:50 出航、前半:「卯の花姫」の物語と龍神伝説
11:30 三淵渓谷での参拝
11:40 後半:長井の街と水との関わり、到着

10:20 「野川まなび館」集合から乗船場への移動

最初の集合場所は「野川まなび館」。
ここで受付を行い、ツアーの注意事項や乗船所までの案内を受けます。※料金の支払いはボート乗り場にて行います。

受付終了後、ボート乗り場までは各自の車で移動となります。

ボート乗り場の「合地沢湖面広場」へ、長井ダムを過ぎ、車で15分ほどの道のりを進みます。

進行方向右側に見える「合地沢湖面広場」を目印に少し下ります。(私たちは目印を見落としてしまい一度通り過ぎてしまいました。)

10:50 到着から出航

乗り場に到着し、受付とツアー料金の支払い(現金のみ)を済ませて、乗船準備へ。安全のため必ずライフジャケットを着用します。

ツアー当日は雨。山の天候は変わりやすいので、参加する際には念のため雨具を準備しておくと安心ですよ。

もし雨具を用意していない場合でも、100円でポンチョをレンタルできます。

しっかり身支度をしたら、いざ出発。

ボートはレスキュー用とのことで、安定していて乗り心地の不安は全くありませんでした。

11:00 「卯の花姫」の物語と龍神伝説

出発後、時折雨に降られながらも、ボートはゆっくりと湖面を進んでいきます。

雨具があるので濡れる心配もなく、雨に打たれるのもなんだかいいな、という気持ちに。ひんやりと涼しくて心地よい水面近くの風、これもボートならではの感覚です。

前述した「卯の花姫」の物語は平安時代にさかのぼります。

詳しい説明は長ーくなってしまいますので避けますが、思いを寄せる人からの裏切りに遭った悲しみのあまり、三淵渓谷に身を投げた卯の花姫。その魂は龍神へと姿を変えて、いまもそこに住み続けている、というもの。その心をしずめ、水神様として流域に暮らす人々の暮らしに恵みをもたらしてくれるよう、渓谷の上に社を造り祀っているのです。

そのため、長井市内の「總宮神社」で毎年9月に行われる例祭では「必ず雨が降る」という言い伝えも。長井の人々にとって「雨」は、水神様が近くに居る、というしるしなのかもしれません。そんな物語を聞いて、いま降っている雨になにか少し特別なものを感じるようになりました。

湖面には靄が。

曇りや雨の湿度の高い日にしか見られないとのこと。こんな幻想的な風景を見られるなら、雨が降っていてよかったかもしれません。

11:30 三淵渓谷での参拝

そしていよいよツアーのハイライト、三淵渓谷に到着です。渓谷の入り口にも靄がかかり、いっそう神秘的です。

ゆっくりと渓谷の中を進みます。

途中、偶然とは思えないタイミングでにわか雨が。水神様の存在がすぐ近くに感じられるような気持ちになりました。

両側にそびえる切り立った断崖。
神秘的で迫力のある光景に、息を吞む乗船客たち。

長く聖域とされてきた参道は、ただ通り抜けるだけでも違う世界へ足を踏み入れたような、そんな感覚になれる場所でした。

11:40 長井の街と水との関わり、到着

三淵渓谷を後にして、ボート乗り場へと戻っていきます。

空には時折晴れ間が。

長井市の水の豊かさは、歴史を通じて水害のリスクとも隣り合わせのものでした。

ダムの建設をはじめとした治水工事や、住居の周りに田畑を置く散居集落の形成など、「水とともに生きる」ために長井の人々が凝らした知恵や工夫。

その精神的な源が、ここ三淵渓谷の水神信仰なのだと学びました。

ボート乗り場に到着。約1時間とは思えないほどの充実感に包まれて、ツアーを終えました。

今回は梅雨の時期の体験でしたが、季節ごとに異なる表情を見せる自然を楽しみながら、繰り返し訪れたいと強く感じました。

やまがたアルカディア観光局が長井ダム周辺で企画するアクティビティ

長井ダム周辺ではこのツアー以外にも、ご覧のとおりの魅力的なツアーが開催されています!

ツアーを企画・運営しているのは「やまがたアルカディア観光局」
長井市・南陽市・白鷹町・飯豊町・小国町の2市3町によって設立され、「東洋のアルカディア(桃源郷)」と呼ばれるこの地域の自然や文化を生かしたツアーの企画・運営やオリジナル商品の開発・販売、観光地域づくりを通して、持続可能な地域を目指しています。

▼公式Webサイト
https://arcadia-kanko.jp/

Webサイトには地域の魅力を写し取った美しい写真や映像、多種多様な魅力のあるツアーが掲載されています。ぜひチェックしてみてくださいね。

①長井ダム ネイチャーサップツアー


長井ダムでサップ(SUP、スタンドアップパドルボード)が楽しめるツアーです。

ツアーガイドが乗り方をレクチャーし、体験中もしっかりサポートしてくれます。ツアー体験時間も長く、初心者の方にもおすすめです。広い空の下、長井ダムの豊かな自然や湖面の風を感じながら、SUP体験を楽しんでみてはいかがでしょうか?
※8月はアブなどの虫が多く出るため、安全上等の観点から予約は受け付けておりません、ご了承ください。

体験時間:約2時間半
期間  :2023年9月~10月の土日祝日
料金  :大人(高校生以上)6,000円/子ども(身長130cm以上)4,000円

■詳細はこちら
https://tour.arcadia-kanko.jp/products/detail/126

②いしぶちバギーチャレンジ!


野川まなび館西側、石淵渓谷近くの特設コースを、小型の4輪オフロード車である「バギー」を
運転するアクティビティです。

コース全長は約800m、丸太越えやスラロームなど、いくつも楽しめるポイントが!予約制となりますので、下記リンク内のカレンダーで予定を確認してお問い合わせください。

期間  :2023年8月~10月(予約制、開催日程詳細はツアーページ内カレンダーより)
料金  :3000円(コース1周、バギー1台あたり2名まで)

■詳細はこちら
https://tour.arcadia-kanko.jp/products/detail/293

③いしぶちどんぶらこ(石淵渓谷シャワークライミング体験)


2023年に新たにスタートした水のアクティビティ「シャワークライミング」。豊かな水をたたえる石淵渓谷内、全長130mのコースで、沢歩きや自然のウォータースライダー、川へ飛び込むウォータージャンプ体験などを楽しめます。

ウェットスーツやライフジャケットなども完備。認定ガイドが安全に配慮しながら案内してくださいます。猛暑を吹き飛ばすような爽快感と開放感にあふれる本格的な川遊び体験です。

体験時間:約2時間半
期間  :2023年8月~10月(リクエスト予約制、予約方法等詳細はツアーページより)
料金  :3,850円(傷害保険料込み)

■詳細はこちら
https://tour.arcadia-kanko.jp/products/detail/306

まとめ

冒頭にも書きましたが、自然に癒され、地域の水をめぐる物語に心を動かし、心身ともにリフレッシュする、本当に素敵なツアーでした。

主催の最上川リバーツーリズムネットワークの皆さま、そして「やまがたアルカディア観光局」の皆さま、本当にありがとうございました!別のツアーにも参加させていただきますので、そのときにはまたどうぞよろしくお願いいたします!

ABOUT ME
トミヤ
1990年生まれ、山形県出身。珈琲と音楽と手仕事が好き。山形の虚飾のないひたむきな人やもの、場所を届けます。
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