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熊野大社の大銀杏(山形県南陽市)|美しく厳かに、そして優しく秋空に燃えあがる黄葉(もみち)。900年以上の長きにわたり、門前町を見守り続ける大銀杏

こんにちは。今回は山形県南陽市にある「熊野大社の大銀杏」をご紹介します。

樹齢900年を超え、山形県指定文化財(天然記念物の部)にも指定されている、県内有数の大きさと樹齢を誇るこちらの大銀杏、熊野大社のご神木として、長い歴史を通して熊野大社と地域を見守り続けてきました。

今回はこの大銀杏の黄葉(こうよう)の様子と、今シーズンの夜の大銀杏ライトアップ「黄葉(もみち)」ならびに銀杏の葉を用いた熊野大社オリジナルのお茶「大銀杏茶」の製茶奉告祭の様子をレポートしてまいります。
今年の見ごろは既に過ぎましたが、来年以降ぜひ秋のお出かけにいらしていただきたい場所です。

大銀杏・昼

こちらの大銀杏はJR赤湯駅から車で15分、電車でお越しの場合は赤湯駅から山形鉄道フラワー長井線に乗り換えたのち「宮内」駅で下車、そこから徒歩で15分ほどの場所にあります。

宮内地区は、以前ご紹介した「熊野大社」の門前町。境内そばにも駐車場はあるのですが、せっかくなのでそこに向かう参道を歩きながら、大銀杏を目指してみます。

車を停めたのは石の大鳥居のそばにある第2駐車場。4~5台ほどは停めることができます。

ここから歩いて大銀杏を目指します。
それでも、大鳥居からはこの景色。

すでに少し西日へと傾き始めている光を浴びながら、ほんのわずかに上り坂になっている石畳の参道を歩きます。

少しずつ大きくなっていく大銀杏の姿。「小春日和」とはまさにこの陽気のこと、というほどの、穏やかな空気を感じながら近づいていきます。

そうしてゆっくりと歩いて、大鳥居から約5分ほど。大銀杏にたどり着きました。

青空に燃え立つように、黄金色に輝く銀杏黄葉。胸に秋風が吹き通るような光景です。

樹齢は900年を超えると言われている、県内でも有数のイチョウの巨樹。
源義家が後三年の役の後、家臣の鎌倉権五郎景正に命じて植えさせた、という伝説が残されています。

お伺いしたのは11月上旬。今年は夏の猛暑の影響で、例年より少しだけ色づきのペースが緩やか、とのことでした。
見上げた視界は、かすかに緑がかった色合いも残しながらの美しい黄蘗色。
深呼吸しながら、しばらくその色彩を楽しみました。

大銀杏そばの「icho cafe」にも少し立ち寄ります。
店内には限定パターン「大銀杏」の小紋柄巾着も販売されています。

▼icho cafeのレポートはこちらから

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刻々と西へ傾く光、白昼夢のような黄金色の時間に身を委ねました。

ありがとうございました。また伺います。

大銀杏・夜

ライトアップ「黄葉(もみち)」および「大銀杏茶」製茶奉告祭

また別の日の夕方。時刻は17:00、すでに日も沈んだ夕去りどきに、大銀杏のもとへ伺いました。

言葉では表しがたい、息をのむような神々しい姿です。大きく呼吸をしているような、命のさざめきを感じるほどです。

この日は、1年のうち大銀杏が見ごろとなる時期の週末にのみ行われる大銀杏のライトアップと、毎年落葉する大銀杏の葉を用いてつくる「大銀杏茶」の製茶奉告祭の日。

1年にこの時期だけ、宵闇から夜闇に空が移るなか、燃えあがるように輝く大銀杏です。

熊野大社のご神木でもある大銀杏。熊野大社とともに900年以上もの間、この場所で町の歴史と営みを見つめ続けてきたのですね。

「葉が全て散り落ちたとき、宮内に雪が降る」と言い伝えられている、季節の移ろいを告げる木でもあるこの大銀杏。

その落葉が人の手で「大銀杏茶」となり、何度でも姿かたちを変えながら、遠く近く、人々の暮らしに寄り添い続けてくれることを想像しました。

製茶奉告祭の後、そばの「icho cafe」でお茶のお振る舞いも行われました。
お茶はクロモジとハトムギのブレンドされた「鈴の音」、レモンバームと和紅茶がブレンドされた「鐘の音」そしてご神木である大銀杏の葉を用いた「御神木特別仕様」の3種類。

「鈴の音」を試飲。銀杏の葉のほか、クロモジとハトムギがブレンドされており、すっきりとした香り立ちと、優しく香ばしい味わいでした。

お値段はそれぞれ「鈴の音」と「鐘の音」が1,300円、そして「御神木特別仕様」のお茶が1,500円となっております。
今年の銀杏を用いてつくられる新茶は年末から年明けにかけて販売開始の予定、とのことです。

歩いて大銀杏のもとをあとにします。
季節が巡り、また来年の今頃、同じようにこの姿を見られますように。

おわりに

今回は南陽市の「熊野大社の大銀杏」をご紹介しました。
今回の黄葉の姿を見られるのは11月上旬から中旬にかけて。ちょうど冬が訪れる手前、晴れた日には小春日和の陽気が気持ちの良い、素晴らしい時間を過ごすことができることでしょう。

熊野大社へのご参拝や周辺のカフェやお店をゆったりと楽しみながら、秋の高い空へと伸びる黄金色の梢を眺める一日はいかがでしょうか。

名称 熊野大社の大銀杏
住所 〒992-0472 山形県南陽市宮内3707-1
交通手段 山形鉄道フラワー長井線宮内駅から徒歩で約15分

 

ABOUT ME
トミヤ
1990年生まれ、山形県出身。珈琲と音楽と手仕事が好き。山形の虚飾のないひたむきな人やもの、場所を届けます。
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